映画「ミッドナイトスワン」が金曜日の夜に合いすぎる
前回の投稿から軽く半年ほどあいているのですが、部署が異動になりまして日々勉強と思いながら楽しく過ごしている今日この頃です。
年相応じゃないとか落ち着きがありすぎるとか貫禄がとか新しい部署関係の方からはよく言われ、そのたびに何と反応してよいのかわからずマスクの下で口がもにゃもにゃ動いています。
相変わらず仕事中は「クソだな」とか「ふざけてんのかこら」とか「うるせえクソ野郎」とか内心で思うこともなくはないし、たぶん顔にもケンカ売ってる感じ出てると思うんですけど、なんとか会社員をやっています。新人のころは全部押し込めて「承知しました」とか言ってたんですけど最近はだいぶオブラートに包みながら自分の意見も言えるようになったので仕事は楽しいです。
「それでいいのよ」と自分をある程度肯定できるようになったので他人の評価も受け止めつつ、しんどい時は受け流せるようになったことに成長を感じています。
生きてるのが!楽しい!!
蓮音くんは島動画でダンスするしSixTONESは円盤出すしこの世は楽しいことだらけだな!?と思っています。
この前ひっさしぶりに映画を見れて、窮鼠はチーズの夢を見るだったんですけど、やっぱり映画館で見る映画はいいなあと思って、そして先週「ミッドナイトスワン」を見てきました。
<ミッドナイトスワン覚え書き>
・邦画とエンタメの混ぜ合わせ
・夜だけ人間に戻れる白鳥のオデット
・「花とアリス」「誰も知らない」「冷たい熱帯魚」「ヘルタースケルター」
とにかく、映像がほんとうに綺麗。立ち姿だけで登場人物の心情がわかるし視線、メイク、服装、モチーフ、とにかくセリフ以外が雄弁すぎてここまでわかりやすくできるんだ、と感動しました。
岩井監督、是枝監督、園子温監督、蜷川さんの色彩が頭をよぎる、とても好きな映画でした。
文章書くのひさしぶりなので好きだったところを羅列していくだけにします。
①ヒロインの一果ちゃんについて思うこと。
髪ぼさぼさ、自傷癖、感情を言語化できないから苦しさ含めてほとんどの感情を押し込めてしまってるんだろうと思わせる生育環境。
無表情、おぼつかない足取りだった彼女がバレエを始めてから水を得た魚のように、本当にしゃんと立って歩くようになって、そういう過程を言葉ではなく映像で追えるところがいい。
「らんま1/2」を読みながら彼女は何を思っていたのだろうか。
凪沙と二人で食卓を囲む場面が本当に好き。いつの間にか食器が増えて、寝る場所も変わってて、夜一緒に過ごすようになった(日曜日とかの店休のとき設定なのかなと思ったけど)。と感じさせる自然な舞台装置も本当に好き。
ひとつひとつの場面を大切に大切につくっているのが伝わってくるのがとてもよき、と思いました。
最後、足元赤のヒールは一果ちゃんにとってのお守りなのかなあと思いました。バレエやる人はあんな高いヒールあんまり履かないイメージだったけど、思えば冒頭から凪沙の足元は赤が印象的でした。
2人の死の上に成り立つオデットだと思うとあのバリエーションは儚さより寂しさよし悲しさと荘厳さ、気高さを感じさせるもので、本当に本当に綺麗だった。
オデットは最後、不実の男に永遠の愛を誓われるけどそれを嘆いて湖に身投げするんですたしか。
海に白鳥なんかいないけど、大好きな凪沙が願ったことだから海辺でオデット踊ったんだよね、背中に悲しい現実が広がってることわかってるから目の前の海に逃げたのかなと思いながらどちゃくそ泣いた。
②主人公凪沙の特に好きだったところ
・歩く姿がかっこいいんだけど人の目を避けてる感じ、必死にあえいで帰って薬飲んで泣いてパキッて効いてきたら鼻歌うたって。挙げたらキリがないのですが全部自然に見えて、これがあるから(とても自然でリアルに見えるから)バレエの非現実が際立ってより魅力的でまぶしいものに映りました。
・ホルモン注射で筋肉落ちてるからそりゃ荷運びはきついよ・・・。名前も、健二って書くのはきつい。けど面接受からなかったし全部一果ちゃんのためだよね・・・。原作小説読んでみないとわからないけど昼は荷運び、夜はショーパブで働きづめしてお金作ることにしました設定なんだろか
・名前も性別も変える方法や制度はあるけどそりゃなんで自分だけこんなハードモードって思うことたくさんあるよね、と思わせる場面場面。というか髪切っても母に見える凪沙さんすげえよ。
りんちゃんもね、一果ちゃんに救いを求める感じが本当によかった。最後の空飛ぶシーン好き。画が美しかった。
お話の展開的にはセリフがわかりやすすぎて興ざめしたり(滑り台みたいに落ちていく、のくだりとか)、途中からドラマチックすぎだろって思ったりしたんですけど、だからこそ終わりに重苦しさがない、邦画どっぷりの感じがしない、泥臭さもありつつ、画のスタイリッシュさもある、まさに金曜夜に適度な重さ(あるいは軽さ)な映画でした。
とにかく画と音がめちゃくちゃ綺麗だから映画館で見てほしい。
タバコをくゆらす凪沙に寄り添う白鳥の一果(月光に照らされてる)、とかいうわかりみが深すぎるポスターもサイコーすぎてたまらん。
だってこれはビジュアル的に(髪長い、赤いコート)目が見えてる凪沙で、彼女は遂に一果のオデットを見ることは叶わなかったから、これは実際には起こりえなかったもしもの世界ということでなんて救いのある画なんだろうと思ったらずっとリピートしたくなる気持ち。
広島の中学生たちの会話がかわいすぎて、絵柄チンピラなのに平和すぎて、そこがリアルで好きポイント。本当に注意しなきゃいけないと思うのは同年代から離れてて、かつ見た目がおとなしそうな子だと思うので。
映画の中で凪沙が言っていたように、自分を大事にして強く生きていかないと、と思えた金曜日でした!
明日はSixTONESのラジオだ!楽しみ!